ポランカの生地はすべてサフィラン社のリネン糸で織ると決めています。
ここ数年、サフィラン社のリネン糸が値上がりし続けていて、見積もりが出て悲鳴を上げる度に、
工場の長年の担当者ミレクさんから中国製のリネン糸を使ったらとおすすめされてきました。
コスト面だけを考えればその通りなのですが、サフィラン社が糸を紡いでいる限り、ポランカはサフィラン社のリネン糸を使いたいと思っています。
リネンの原材料であるフラックスは主にヨーロッパで栽培されていますので、中国製のリネン糸はヨーロッパのフラックスを紡績しています。
中国製のリネン糸をポーランドで染色、製織をすれば「made in poland」になります。
生地のコストが安く抑えられる順番としては、【1】→【2】→【3】が考えられると思います。
【1】ヨーロッパのフラックスを中国に運んでリネン糸にして、中国で生地を織る→もっともコストが抑えられる
【2】ヨーロッパのフラックスを中国に運んでリネン糸にして、ヨーロッパで生地を織る→【3】よりも安価、しかもmade in Europeとうたえる
【3】ヨーロッパのフラックスをヨーロッパでリネン糸にして、ヨーロッパで生地を織る→コストは高いが、生産者の顔が見えることで信頼がおける
【2】は、ヨーロッパと中国を行ったり来たりしているのに【3】よりも安価になるのが驚きです。
ポランカは仕事をはじめた当初から20年間ずっと【3】を選んでいます。
「フランスの契約農家のフラックスをサフィラン社(フランス資本)がポーランドでリネン糸にして、ポーランドで生地を織る。」
サフィラン社のリネン糸を使い続けている理由、それは、サフィラン社の「フラックスの1ロットの定義」に感銘しているからです。
「同種類のフラックスの種を4月の指定した日に撒き、収穫時は7月から8月の指定した日に刈り取ったフラックスであること。」
この定義は、別の日に種がまかれたり、別の日に刈り取られたフラックスは、別のロットとして管理されることを意味しています。
この説明を受けた時に、「サフィラン社で紡がれたリネン糸を使いたい、そのストーリーをお客様に伝えたい。」と思いました。
フランスのフラックス畑に種を蒔く農夫
畑一面のフラックスの花
夏の日差しを受けて畑に寝かされているフラックス
ポーランドのサフィラン社で紡がれていくフラックス
そんな、フラックスの種から生地ができるまでのイメージが自然と浮かび上がりました。
製造工程を説明してくれたサフィラン社のBenoitさんもとても誇らしげでした。
サフィラン社のリネン糸は、EUの厳しい基準をクリアした「Masters of Linen」の正式な認定も受けています。
信頼できる品質とストーリーを背景に持つサフィラン社のリネン糸、とても魅力的だと思いませんか。
そんなサフィラン社のリネン糸ですが・・ポーランドのリネン工場の担当者ミレクさんは「サフィラン社との取引は大変だ。」といつも嘆いています。
サフィラン社との価格交渉は難しく、納期も合わせてもらえないことが多いそうです。
ポランカもキッチンクロスのためのリネン糸をサフィラン社から仕入れるまで、通常なら1ヵ月のところ、3ヵ月待ちました。
一時はキッチンクロスの製作を諦めなければいけないのかと心配になりましたが、9月には糸を確保、10月から製作を始めることができました。
納期が遅れた理由は、今年のヨーロッパの夏はゲリラ豪雨が多く、フランスのフラックスの畑も被害を受けてしまい生産が遅れたからだそうです。「長雨と日照不足で野菜が値上がり」なんていわれる日本の農産物と同じだなあと思います。
なにはともあれ、サフィラン社と粘り強く交渉してくれたミレクさんに感謝です。
ポランカのキッチンクロスのたて糸の準備の様子の写真がポーランドの工場のベロニカさんから送られてきたのでご紹介します。
生地の製作は数日で一気に進んでしまうので、ちょっと遅れ気味のポランカのキッチンクロスのメイキングブログです。
polanka webshop:https://polanka.stores.jp/