【 14世紀から続くポーランドのリネン工場を訪ねて 】
polankaのリネン生地は、ポーランド南西部にある自然に囲まれた小さな美しい町で織られています。
polankaの生地作りはリネン糸を選ぶところからはじまります。
使用しているリネン糸は、ポーランド国内にある世界でも有数の紡績会社サフィラン社から取り寄せています。
届いたリネン糸は、整経(せいけい)とよばれる生地を織るための経糸の準備工程のために、専用の機械で巻き直します。
【 サフィラン社のリネン糸をセレクト 】
【 リネン糸を巻き直す機械 】
天然素材であるリネンは、年毎の気候によってグレイの色が微妙に変化します。
そのため、リネン糸の漂白や染色には長い経験が必要になります。
技術担当者の勤続30年のコジェウさんから糸の漂白について興味深いお話しをお聞きしました。
漂白には過酸化水素(H2O2)を使用していますが、水(H2O)に近い成分のため環境汚染にならないので処理する必要すらないとのこと。
天然素材であるリネンが環境に配した処理方法で漂白されていると聞いて安心しました。
また、生地の加工にはたくさんの水を必要とするため、工場は川の近くでなければいけないそうです。
【 リネン糸を漂白・染める準備 】
【 クレーンで吊られた糸は染色釜にセットされます 】
【 染まったばかりのリネン糸 】
工場の中には染色の研究所もあります。
訪問当時の室長のイレナさんに研究室の中の説明をして頂きました。
研究室の中は、学校の理科の実験室のような道具や機械がたくさん並んでいました。
見慣れない道具や色見本帳は、眺めているだけでも楽しくアート作品のようでした。
お客さんから依頼を受けての色見本作りが中心ですが、その他にもリネンの繊維として染色性、強伸度、収縮性などの研究をしています。
染色したリネンに紫外線を当てて、色の褪せる過程を実験する機械もありました。
【 室長のイレナさん、染色のエキスパート 】【 イレナさんの染色ノート 】
【 糸を染める道具 】
【 染色研究所の風景 】
テキスタイルは、経(たて)糸と緯(よこ)糸の組み合わせで無限の表現が可能になります。
生地を織る第一段階としてまず経糸を用意します。
専用の機械でビームという大きなボビンのような金属の筒に巻かれた経糸は、筬(おさ)に一本一本を手作業で通していきます。
筬(おさ)とは、経糸の密度と生地幅を決める櫛のような織機の道具のひとつです。
数千本の糸を小さな穴に通していく作業は、単純でありながら気を遣う作業のひとつです。
特にストライプやチェックの生地の場合は、お客さんのデザインに合わせて色糸を配置していかなければいけません。
時に糸の通し間違いが生地全体に及んでしまうことがあります。
polankaの152cm幅のベーシックリネンは経糸を何本くらい使用していると思いますか。
ラスナチュラルは約2500本、ポーレナチュラルは約2700本使用しています。
経糸のセッテングの後は、ドイツ製のレピア織機で緯糸を操作して生地を自動で織り上げていきます。
【 経糸の準備風景 】【 ビームに巻かれた経糸 】
【 ビームに巻かれた経糸は一本一本、手作業で筬に通していきます 】
【 ビームと筬を自動織機にセットします 】
【 緯糸を自動で入れて織り上げていきます 】
【 リネン工場のテキスタイルデザインノート 】
【 テキスタイルの表現は無限大 】
生地の仕上げ加工には様々なものがありますが、polankaではリネンらしさがもっとも残るwashed加工を選んでいます。
washed加工とは織り上がった生地を様々な温度の水に通し、生地の張りを保ちながら生地を乾燥させていく加工です。
しわになりにくい柔軟防縮加工を指定するお客さんも多いそうですが、polankaでは「リネンはリネンらしく」をモットーにwashed加工を選んでいます。
最後に専用の機械に生地をセットして、目視で2回の検品がおこなわれます。
昼間の光と同じ明るさのライトの下で最終的な検品を経て、リネン生地は反として巻かれ完成します。
【 リネンらしさを最大限に活かすwashed加工 】
【 生地の検品のための作業台 】
【 反に巻かれたリネン生地は丁寧に梱包されて、いざ日本へ 】
~歴史ある町でポーランドリネンを紡ぐ~
【 旧市街の一角にある伝統的なポーランド料理のレストラン・レシュカ 】
【 バロック建築の文化遺産・クシェシュフ修道院 】